新聞営業ハンドブック

新聞営業ハンドブック2020を公開します!

新聞営業ハンドブック2020=第7章《クレーム対応》

1 クレーム発生のメカニズム

2 当事者意識を強く持つ

3 お客様の話をしっかりと聞く

4 クレーム内容を確定させる

5 解決策・代替案を提示する

1 クレーム発生のメカニズム

なぜお客様はお怒りなのでしょうか?

 お客様がクレームを言うのはなぜでしょうか。当然、新聞本紙や販売店、スタッフなどに不満があるからでしょう。それは、ひとつの出来事に対していきなりお怒りになってクレームに繋がるのでしょうか。クレーム発生のメカニズムについて見てみましょう。

 

① クレームは花粉症

 クレームは花粉症が発症するのと似ています。花粉症はある日突然に発症します。それは急に花粉に身体が反応して発症するのではありません。花粉症はアレルギーの一種ですが、アレルギーには「アレルギーコップ説」というものがあります。身体をコップに見立てて、生まれつきの体質に大気汚染やストレス、衛生環境や大量のアレルゲン(アレルギーの原因となる抗原)が水のように増えていき、コップの水があふれるように身体の許容量を超えるとアレルギー症状が起きるというものです。

 クレームも同じです。例えば、朝刊が届かなかったとします。初めてのことであれば、お客様は電話連絡をして朝刊が届けばそれで納得するでしょう。クレームに発展することはないはずです。しかし、以前に朝刊が濡れていて読めなかった、バイクの空吹かしで音がうるさい、集金は日中にお願いしているのに時々暗くなってから来る…などいくつかの不手際が積もり積もってクレームに発生するのです。朝刊が届かなかったというのは引き金にすぎません。

 

② クレーム発生のメカニズムを忘れずに

 クレームは、積もり積もった不満が爆発して発生するものだということを忘れないでください。間違っても「不着を1回したくらいでそんなに怒らなくても良いのに」と思ってはいけません。今回は、不着に対してお怒りになっているが、これだけお怒りなのには理由があるはず…」と思うことが大切です。そう思うことで適切なクレーム対応ができるのです。その気持がないと、クレームがクレームを生んで、ハードクレームに発展してしまうということもあります。

 

③ クレーム対応で大切な4つの手順

 クレーム対応する際に大切なのが以下の4つの手順を踏むことです。72頁から詳しく説明していきます。

 

(1) 自分の不手際ではなくても当事者意識を強く持つ

     ↓

(2) クレームを言っているお客様の心情を理解していることをお客様にしっかりと伝える

     ↓

(3) クレームの内容・要望は何かをしっかり確認する

     ↓

(4) 解決策もしくは代替案をお伝えする

 

2 当事者意識を強く持つ

あなたは会社・店の代表です

 お客様は、あなたのお店が扱っている新聞、サービスに対する不満やスタッフに対する不満をクレームという形で表します。そのお客様に対して「その案件は自分の担当ではない」という理由で安易に対応者を交替することは禁物です。お客様から見れば○○新聞店のスタッフは「○○新聞の人」と考えるのは当然の事です。最初に電話に出た者あるいは応対した者がしっかりとお客様の話を聞くことからクレーム対応は始まります。

 

 名乗り

 お客様は、自分の不満をしっかりと聞いてもらい、納得のいく対応をしてもらいたいのです。従って、あなたが最初にやらなければいけないのは、お客様の話をしっかりと聞くということです。

 そこで注意するのは、あなたが「どこ」の「誰」なのかを名乗る事です。お客様は、自分の不満を聞いてもらえる相手なのかをあなたの名乗りを聞いて判断します。あなたが名乗ったあとにお客様が不満を話し始めたら、お客様はあなたを自分の不満を聞いてもらえる相手だと判断したことになります。

 

3 お客様の話をしっかりと聞く

お客様の心情を理解しましょう

あなたが誰なのかを名乗ったら、次ぎはヒアリングです。

 

ヒアリング

 お客様が不満を話し始めたら、お客様の話を最後までしっかりと聞きましょう。お客様の話が「自分の担当ではない」「自分では判断できない」という内容であることがわかってもお客様の話を途中で遮ってはいけません。

 ただし、お客様の話をただ最後まで聞いていれば良いということではありません。お客様は何に困っているのかをしっかりと聞いてください。あなたが対応する内容ではなく、別のスタッフが対応する内容でもしっかりと聞いてください。お客様の話をしっかりと聞くということは、お客様の心情を理解して、共感していることをお客様に伝えるということです。

 

(1) お客様にとっては大事なことという意識で聞きましょう

 自分の身内の話を聞いているという意識でお客様の話を聞いてみましょう。そうすることで心情を理解でき、また、お客様にはあなたが共感していることが伝わります。

  話を聞く際は、「共感」していることを伝えるために言葉で表しましょう。

「大変お困りなんですね」

「ご不便をお掛けいたしまして、誠に申し訳ございません」

「お時間を取らせてしまいまして、申し訳ございません」

上の共感を伝える言葉は「お詫び」の言葉でもあります。お客様にとってクレームを言うという行為は、時間と労力が必要です。そのことに対してお詫びをして下さい。「お詫び」と「謝罪」は別のものです。謝罪は、こちらにミスがあった場合に「謝る」という行為です。対して、お客様に時間を使ってクレームを言わせ、手間を取らせたことに対して行うのが「お詫び」です。

(2) お客様の話を最後まで聞きましょう

 「聞き役」ではなく「話させ役」というイメージで、お客様に声をかけながら聞いてください。お客様は、気持ちよく自分の言い分を話し、最後まで聞いてもらえれば、お怒り度はかなりレベルダウンします。決して、「言い訳」「お客様の間違いの指摘」「反論」をしてはいけません。

(3) 共感していることを示しましょう

 お客様の話に共感をして聞くということは、「態度」と「表情」と「言葉」で示すことです。

 ア) 態度

 お客様の苦情を聞くのですから、当然申し訳ないという態度でなければいけませ ん。お客様が話しているときは、「うなずき」ましょう。電話での受け答えで姿が相手に見えない時も「うなずき」ましょう。真摯な気持がお客様に伝わります。

 イ) 表情

 申し訳ないという表情が必要です。ニコニコ笑っていたり、苦情を言われて迷惑だという表情は絶対にNGです。

 ウ) 言葉

 共感していることが一番伝わるのが「言葉」です。お客様は、「自分の言っていることがきちんと伝わっている」と感じると怒りが少しずつ静まります。

 

あいづち

「よくわかります」

「ごもっともです」

「ご指摘いただいたとおりで

                                 ございます」

「お客様と同じ立場であれば、

 私も同じように感じると思います」    

復 唱

     《お客様》       《あなた》

 「△△だったのよ」⇒「△△なのでございますね」

 

4 クレーム内容を確定させる

何にお怒りなのかしっかり確定します

 お客様が何にお困りでお怒りなのかをしっかり確定させましょう。事象によって確定させる項目は異なりますが、概ね下記の内容を確定します。

① トラブル発生の日時

② どなたが不満をお持ちなのか

③ どのようなことが起こっていて、何にご不満なのか

④ あなた(新聞社・店)にどうしてほしいのか

 内容について、こちらから問い合わせる際は「恐れ入りますが」とひとこと添えて尋ねましょう。お話いただくことに恐縮しているという態度・意思が伝わります。

 聴き取る際は、必ずメモを取りましょう。

 お客様の常識とあなた・新聞社・店の常識が異なっていないかも注意して話を聞きましょう。

 内容の確認ができたら、お客様に上記①~④を復唱して内容確認してください。良ければ、これをもってクレーム内容の要件が確定できます。

 要件確定ができたら、次ぎは解決策または代替案をお客様に提示します。しかし、その前にこのクレームは、あなたの判断で解決できるのかをしっかり考えてください。責任者が別の人であれば、その人に引き継ぐ必要があります。その場合は、お客様にもしっかりと伝えて納得していただかなければいけません。

 他の人に案件を引継ぐ必要があるときは、お客様に以下のことをしっかりと伝えましょう。

① 案件の担当者は誰なのか

② いつ担当者に引き継ぐのか

 今すぐに引き継げない場合は、その理由を話す

③ いつごろお客様に解決策または

                                        代替案を伝えられるのか

 あなたが判断できない場合は、あなたが責任を持って担当者に伝え、担当者からいつまでに連絡させる旨を伝える

④ 担当者には、あなたが責任を持って引き継ぐこと

 

5 解決策・代替案を提示する

できることは約束をして、しっかり守る

 こちらのミスでクレームが発生している場合は、できるだけお客様の要望に応えられるように解決策あるいは代替案を示します。その上で、再度ミスが発生しないように対策をする必要があります。同じミスを何度も繰り返してはいけません。

① 店内でクレームを共有する

 発生したクレームを店内で共有します。ミスをした本人だけが再発防止に気をつけても他のスタッフが同じミスをしてしまう場合があるからです。クレームに基づいたミスを店内で共有して、ミスが発生しないためにはどうしたら良いのかをスタッフみんなで考えましょう。ミスをしないスタッフは既にその答えを持っているかもしれません。その答えを共有すれば、店全体で同じミスは発生しません。

② 解決策・代替案をお客様に伝える

 クレームにまでなったミスに対する対策は、必ずお客様に伝えましょう。「頻繁に不着がある」⇒「申し訳ありません。今後気をつけます」では、お客様は納得しません。①の例のように具体的な改善策を示すことで、お客様は理解を示します。また、「しっかりとした対策を店全体で取るすばらしい店だ」とクレームが好評価に変わるかもしれません。

③ クレームは顧客満足度を上げるための

               最善のVOC(Voice of Customer)

 クレームを発生させないように努めることは大切です。しかし、不幸にして発生してしまった場合は、これまで述べてきたようにお客様に共感しながら誠意を持って対応して、解決策を示します。それを店全体で共有して再発防止に努めます。

 この経験を積み重ねていく事でミスが減っていき、店の行うサービスの質が高まり、お客様に満足いただけることになります。お客様の満足とは、過剰なサービスによってお客様が気持ち良くなるということではありません。新聞が破損や汚損なく、毎日定時にきちんと届いて、集金も決まった日の決まった時間に来て、新聞社があつかうイベント等の情報を平等に提供される…という当たり前のことがミスやイレギュラーなく繰り返されることです。お客様からのクレームや要望など「お客様の声(Voice of Customer)」は質の高いサービスを提供するのに直接役立つものです。クレーム以外にもお客様から収集した意見は、店で共有してサービス提供に役立てて下さい。