1 あいさつ、表情、姿勢
2 話し方
3 営業会話テクニック
4 信頼関係を築くコミュニケーション
1 あいさつ、表情、姿勢
面談の最初が肝心です
わたしたちは、新聞の営業に行くのですからお客様に話を聞いていただかなければ仕事になりません。ドアの向こうのお客様は、話を聞いてくれる状況なのか、忙しくて聞いていただけないのかがわからないままチャイムを押さなければいけません。「こんな忙しいときに来て…」と言われるかもしれません。でも怖がる必要はありません。普通の営業会話ができればトラブルになることはありません。営業会話の基本中の基本を説明します。
① あいさつ
お客様と最初にかわす会話は、「あいさつ」です。あいさつには「面談最初のあいさつ」と「終了あいさつ」があります。面談最初のあいさつはなんとなくわかるかもしれませんが、終了あいさつもとても大切です。たとえ断られてもお客様に不快な思いをさせることなく、再訪問できるようなあいさつができなければいけません。
(1) 面談最初のあいさつ
「あいさつ」+「名乗り」でお客様にあなたが誰なのかを認識していただくことができます。複合あいさつといいます。
《あいさつ》
・ おはようございます ・ こんにちは
・ こんばんは ・ お世話になっております
《名乗り》
・ ○○新聞店の△△です
《複合あいさつ》
・ こんにちは。○○新聞店の△△です
とても簡単ですね。声を出して練習してみましょう。
(2) 終了あいさつ
終了あいさつは、お客様とどんな話をしたのかによって変わってきます。
《あいさつ》
・ 感謝⇒本日はお忙しいところ有難うございました
・ 内容確認⇒本日は「…」についてご案内いたしました
・ 不明点の有無確認⇒ご不明な点はございませんでしょうか
・ 次回へのフォロー⇒何かございましたら連絡をください
・ お詫び⇒お役に立てず申し訳ありませんでした
※ 状況によっては上記以外にもあいさつがあります。
《名乗り》
・ 私△△が承りました。
・ 本日は△△がご案内いたしました。
《複合あいさつ》
・ 本日はお忙しいところ有難うございました。△△が承りました。
状況によって違ってくるので少し難しいかもしれません。実践経験を積んで覚えていきましょう。
② 表情
表情はいうまでもなく「いきいきした顔」と「笑顔」です。表情が声色にも表れます。いきいきとした笑顔で発声することで、あなたはとても良い印象をもっていただけるでしょう。
③ 姿勢
姿勢を正しましょう。たとえドアの向こうのお客様に見えていなくても正しい姿勢でいることで、これからお客様に営業をするというあなた自身の営業スイッチが入ります。
2 話し方
営業を意識した話し方をしましょう
営業会話は、家族や友達と話すわけではありません。しかも商品を買っていただくお願いをするための会話です。日常会話とは違うということを意識してください。
① 聴き取りやすさ
・ お客様が聴き取りやすい声の大きさで話しましょう。
・ 口を開いて滑舌に注意して話しましょう
お客様にあなたの言っていることが伝わらなければ意味がありません。お客様の表情に注意して「通じているのか」「通じていないのか」を見極めましょう。通じていないようなら、もっと口を開いて滑舌をはっきりさせてお客様に聞こえる声の大きさで話しましょう。
② 話すスピード
・ お客様のテンポに合わせて話しましょう
あなた自身の話すスピードがあるかもしれませんが、営業会話ではお客様のテンポにあわせて話しましょう。お客様は、自分のテンポで会話ができると気持が良いものです。
※ 一般的な会話速度は、1分間に約200字です。
③ 声のトーンとイントネーション
・ 強弱と抑揚をつけて話し方に表情をつけましょう
・ 強調したい部分にはアクセントをおきましょう
・ あかさたな…のあ段の開口を意識しましょう
話し方が一定のトーンで抑揚がなくずっと一本調子だと事務的な印象になります。たとえば「申し訳ありません」とお詫びをしても気持が伝わらず謝罪していると思っていただけません。
④ 話し癖
話し癖の中にはお客様にとって不快であったり、私たちに対して不信感をもたらすものもあります。営業では十分に気をつけましょう。
・ 語尾に気をつけましょう
「~ますうー」「~でえー」というように語尾を伸ばすとお客様を敬う気持を感じません。とても失礼になってしまいます。
・ 口癖
口癖には色々あります。お客様に不快な思いをさせないよう日頃から自分の話し方に気をつけてみましょう。たとえば「えー」が多い。「うん」とうなずく。などです。
⑤ 立ち位置と目線
お客様と会話するときは、できるだけ正面には立たず少し斜めに立ちます。正面に立つと相手に威圧感を与えてしまいます。また、目線はできるだけお客様の目線に合わせます。最もやってはいけないのは、上から見下ろすことです。腰をかがめて目線を合わせましょう。
⑥ 話し方のポイント
①から⑤を踏まえて、話し方のポイントをまとめると次のようになります。
◎ 早口にならない⇒相手のスピードに合わせる
◎ 聴き取りやすく話す⇒相手の声のトーンに合わせる
◎ お客様の話を最後まで聞いてから話し始める⇒一方的に話したり、相手の話をさえぎらない
◎ 声に表情を持たせる⇒感謝や歓迎、共感、お詫びが伝わるようにトーンやイントネーションに気をつける
たとえば、おばあちゃんと会話する場合は、腰をかがめて目線を合わせ、横に寄り添うように立ちます。そして、おばあちゃんの話すスピードと声のトーンに合わせて話します。あせらず、おばあちゃんの話を最後まで聞いて自分の話を始めましょう。
3 営業会話テクニック
ちょっとしたテクニックで好感度アップ
営業会話に必要なことは、お客様を敬っていることを伝える。つまり「気遣っている」「立場をわきまえている」ことを伝える事です。
① 尊敬語・謙譲語・丁寧語
尊敬語・謙譲語・丁寧語をきちんと使おうと意識しずぎると上手く会話ができず、自分の伝えたい事が相手に伝わりません。最低限、お客様に失礼にならないよう気をつけるように心がけましょう。
尊敬語・謙譲語・丁寧語の「意味」「活用場面」「使い方の例」を簡単に整理すると下表のとおりです。
【注意点】
・ できるだけ多重敬語は使わない⇒×お元気にご旅行にお出かけになられた
・ できるだけ多重敬語は使わない⇒○元気に旅行にお出かけになった
※ 会話の流れで敬語が重なる事があります。あまり意識しすぎず、二重敬語までは不自然にならないので、問題ありません。
・ 動詞が続く場合は、最後の言葉を敬語にする。⇒×お喜びになって帰った
○喜んでお帰りになった
・ 身内に敬語は使わない⇒×お父さんがおっしゃるには
○父が申すには
・ 相手に謙譲語は使わない⇒×お客様が参りました
○お客様がお見えになりました
・ 「お」「ご」は、動植物、外来語、公共物、「あ」「お」で始まる言葉には付けない。
② やわらげ表現
お客様のご希望に添えない時やお客様に負担を強いる時に「やわらげ表現」を使うことで、お客様を気遣っていることが伝わります。また、丁寧な印象を与えます。
(1) 肯定的に話す
「できない」ことを肯定的に話すことで受ける印象が大きく異なります。
× 本日、○○は外出しております。明日まで対応できません。
○ 本日、○○は外出しておりますが、明日は対応可能でございます。
× 担当ではないのでお答えできません。
○ 折り返し担当から回答させていただきます。
(2) 依頼形を使用する
自分達の都合をお客様にお願いする場合、できるだけ命令的な表現は避けます。依頼形を使いましょう。
× 10日までに連絡して下さい。
○ 10日までに連絡していただけませんでしょうか。
× 集金に伺います。
○ 集金にお伺いしてよろしいでしょうか。
③ クッション言葉
お客様に質問や依頼をするときにクッション言葉を使用すると、とてもソフトに受け止めていただけます。多様なクッション言葉は会話の広がりを増やします。営業にはとても役立つ言葉なので、マジックフレーズと言う人もいます。
「お断り」や「依頼」の場合でもクッション言葉を使うことで、お客様に警戒感や不安感を抱かせずに心構えをしていただけます。
④ 伝える内容と順序
お客様に対し依頼や否定的な事柄を伝える際に、言葉使いと同じくらいに大切になるのが内容と順序です。順序は、結論から伝え、次に理由、最後に感謝やお詫びの気持を伝えます。
⑤ NG言葉
営業のときに使ってはいけない言葉です。お客様が否定的に捉えて不快になります。また、曖昧な印象を与え不安に思います。
《例題》次ぎの会話を正しく言い換えてみましょう。
お客様:うちの主人は早朝出勤があるので、遅くても3時半までには朝刊を届けてもらいたい。
あなた:○○さんの要望に応えられるよう頑張ります。ただ、新聞が店に着くのが3時半を過ぎる場合は、4時過ぎになるときもあります。
ポイント: の部分は適切なのかを考えてみましょう。
4 信頼関係を築くコミュニケーション
コミュニケーションで信頼を得る
お客様とどのようにコミュニケーションすれば、信頼していただけるでしょう。2つの点に気をつけて会話をすれば大丈夫です。1つは「お客様の話を受け止める」もう1つは「お客様の話に反応する」です。
① お客様の話を受け止める
あなたは普段、お客様とどのようなコミュニケーションをとっているでしょう。思い出しながら下表のどれに該当するか考えてみましょう。
普段の会話から気をつけるようにしましょう。最初は、お客様の話を最後までしっかりと聴くことを意識しましょう。
お客様の話が理解できたら、復唱して正しくお客様の話を理解しているかお客様に確かめましょう。
② お客様の話に反応する
表情や声のトーン、スピード、言葉を返すことでお客様に話をしっかりと聴いているということを示しましょう。
共感しているという事を示す言葉には、どのようなものがあるでしょう。下の例を参考にして下さい。
◆ お客様が落ち込んでいるとき
「そうですか、ご不安でしたね」「それは大変お困りなのですね」「○○様が、がっかりする気持ち、わかります」
◆ 怒っているとき
「お怒りになるのも、ごもっともです」
◆ 喜んでいるとき
「そうですか、それを聞いて私も嬉しいです」「○○様は大変上手に活用されていらっしゃいますね」「それはさすがですね。そのような結果を出すには色々と苦労されたことでしょう」
《回答例》
結論:○○様のご要望にできるだけ対応させていただきます。
用件:3時半までの配達についてですが、大変申し訳ございませんが
(断り) 冬場の大雪の日など特別な日は、ご要望に添えない場合がございます。
理由:交通の状況によって新聞が店に到着するのが遅くなる場合があります。そういう日は、3時半を過ぎる場合があるかもしれませんが、できるだけ早くお届けするよう対応させていただきます。
感謝:ご迷惑をお掛けする場合もあると存じますが、何卒ご理解いただきますようお願い申し上げます。本日は有難うございました。