新聞営業ハンドブック

新聞営業ハンドブック2020を公開します!

新聞営業ハンドブック2020=第4章《新聞営業の基本》

1 営業フローチャート

2 リスト管理

3 種まき

4 育てる

5 刈り取る

1.営業フローチャート

新聞営業の流れを理解しましょう

 新聞の営業の基本は、訪問販売です。店舗に商品を並べて集客して販売するわけではありません。一軒一軒お客様のお宅に訪問して営業します。ちなみに新聞購読のきっかけには、電話セールス、ホームページからの申込み、来店申込み、電話申込みなどがあります。電話セールス以外は受身なので、こちらから行う営業ではありません。

 さて、新聞の訪問営業の方法は具体的にどのようにするのでしょう。特別な営業をするわけではありません。基本は、自分の取扱っている新聞を購読していないお客様に新聞を購読していただけるよう働きかけるという作業です。フローチャートで説明します。

~Step1事前準備~

 あなたが営業するエリアのお客様の情報を集めます。取扱紙を読んでいるお客様以外が営業の対象です。その営業対象のお客様が「新聞をまったく読んでいない」または「取扱紙以外の新聞を購読している」という情報をリストまたは地図に記入します。

~Step2種まき~

 まず、あなたが〇〇新聞販売店の営業をしている△△さんであることをお客様に覚えてもらいましょう。ですから、最初から「新聞はいかがですか」と新聞は前面に出さず、営業用のパンフレットなどを持参して「あいさつ回り」に重きを置いて回りましょう。訪問の目安は月に1回を基本にして、話しやすいお客様は頻度を多くしても良いでしょう。その中で、お客様の趣味や家族構成など会話の中で見つけた情報を集めていきましょう。

 

~Step3育てる~

 お客様の情報を基に紙面販売(第3章5参照)をしましょう。お客様の興味に合わせて記事を話題にします。たとえば、小学生のお子様がいるお宅であれば、その小学校が記事になったときに新聞を持って行き話をするという具合です。この「育てる」段階でも情報収集は忘れずに行いましょう。

 

~Step4刈取り(クロージング)~

 お客様に信頼していただける関係が築けたら刈取り作業に入りましょう。まず、7日間の試読を勧め、試読後に感想を聞きに訪問して、購読契約をお願いします。「刈取り」を行うことでお客様との関係にも一定の区切りがつきます。ダラダラ営業は禁物です。

2.リスト管理

顧客リストが命綱です

 Step1の事前準備で行うリストの作成は、とても大切です。情報が全く無い状態で営業に行っても、恐らく何の成果もないでしょう。例えば、以前に自分の販売店のミスでトラブルになったお客様とは知らずに営業に行ったらどうなるでしょう。トラブルをさらに悪化させてしまいます。トラブル情報を知っていれば、訪問時にまず「昨年は当店の間違いで大変ご迷惑をお掛けいたしました。」とお詫びから入ることができます。お客様の受ける感じは全然違うはずです。

 単に取扱紙を読んでいないお客様の名前をリストアップするよりもお客様ごとにわかっている情報を記入しておくとより役立つリストとなります。

 39頁は理想的な顧客リストの例です。上部に「区域」「購読紙」「取扱紙の購読経験」「氏名」」「住所」「電話番号」という基本情報があります。次に「訪問結果」が10回まで実績が記入できるようになっています。続いて「購読しない理由」と店内で共有する情報を記入する「自由記入」があります。これは前述したトラブルなどを記入しておいて、営業時に備えます。

 中段が「見込度判定表」で、お客様が現在どのくらい新聞を読む可能性があるかをAランク~Gランクまで7ランクにわけています。

 その次が家族構成です。例では「決定権の有無」や「年齢」「職業」「学年」「趣味」など細かく記入できるようになっています。

 最後がお客様から何をご購入いただいたかを記入するものです。取扱紙を購読していなくても、チケットや書籍を購入されている場合は、これを基に営業することができます。

 今回例にしているリストは実際にはPCで管理しています。従ってデータ処理によって、小学生のお子様がいてかつ取扱紙の購読経験者を一覧で呼び出したり、店の営業日に訪問する必要のあるお宅の一覧を呼び出したり、色々なことが出来ます。

3.種まき

最初の一歩は種まきから

 偶然、新聞を購読したいと思っている方が引っ越して来たというようなことがない限り、初対面で購読の契約ができるということはありません。従って、リストに基づく地道な種まきが必要なのです。

 

 37頁で説明したように、まずは名前を覚えていただくという気楽な気持でエリアを回りましょう。販売店では、営業用の冊子やチラシなどを用意しています。事前に中身を読んでおき、種まき=あいさつ回りの会話に役立てます。販売店が用意する営業用のあいさつ品は、私たちが営業しやすいように工夫されています。それを上手に活かすか活かさないかは私たち次第なのです。

 

 あいさつ回りの際の注意事項は以下のとおりです。

 

① 服装と身だしなみ

第一印象はとても大切です。会って1~2秒で第一印象が決まるとも言われています。第2章4「服装と身だしなみ」を参考に清潔で決められた服装で身分証明書を忘れずに出かけましょう。

 

② 自分は誰なのかをはっきり伝えましょう

訪問販売にはルールがあると第1章3で説明しましたが、身分証明書を提示して「氏名」「販売店名」「銘柄」「目的」をしっかり伝えましょう。そして「話を聞いていただけるか」了承を得ましょう。

 

③ 新聞の売込みはじっと我慢

   新聞を購読していただくために営業するのですが、あいさつ回りでは避けたほうが良いでしょう。初対面で自分が新聞の営業で回っていることは伝えてあるので、2回目以降は新聞以外の営業用品を上手に使って日常会話を楽しみましょう。

 

④ 自然の会話の中から情報を得る

お客様情報が営業に役立つことは、リスト管理の項で説明しましたが、無理に情報を聞きだそうとするのはNGです。無理に聞き出そうとすると間違いなくお客様に警戒されたり、不審に思われたり、場合によっては嫌われてしまいます。日常会話の中からお客様が「ぽろっ」と漏らした情報を逃さずキャッチしましょう。キャッチした情報はリストに記入する事も忘れずに。

 

⑤ 在宅情報も貴重な情報です

あいさつ回りの時、不在で情報が得られなかったとがっかりするかもしれませんが、それは間違いです。訪問した「日時」「曜日」をリスト管理する事で、同じ曜日の同じ時間に訪問しないということも計画的な営業ということがいえます。「〇曜日」の「△時」に決定権者(契約するか否かの決定権を持っている方)に面談できたという情報がリスト管理されていれば、無駄足を踏むことなく効率的な営業ができます。

 

⑥ 訪問時期はお客様に合わせて変えましょう

あいさつ回りは1ヶ月1回を基本と前述しましたが、あなたの訪問をあまり歓迎していないお客様で、1ヶ月1回の訪問を嫌っている様子がある場合は、訪問期間を長くする必要があります。

 

⑦ 育てる作業に移行する時期は

お客様にあなたが○○新聞の営業マン・営業レディーであることが認知してもらえれば「種まき」から「育てる」作業に移りましょう。訪問の経緯を販売店の上司に報告して「育てる」作業に移るか否かを相談しましょう。

4.育てる

新聞に目を向けさせる大切な作業

 種まき=主にあいさつ回りは、名前を覚えていただくという気楽な気持でと前述しましたが「育てる」は、そういうわけにはいきません。育てるという段階で取扱紙を知っていただき、興味を持っていただくところまで持っていかなければいけません。私たち営業職の腕の見せ所です。また、この育てる作業が一番時間のかかる作業になります。数年あるいは十年以上かかる場合もあります。

 

① 種まきから育てるへ

種まきからどの段階で育てる作業に移行すれば良いかは、41頁で説明したとおりあなたが新聞の営業をしているということを認知していただいた時点で移行します。営業に慣れるまでは、訪問結果をリスト記入しながら上司に報告して、育てる作業に入るか否かの判断を仰ぎましょう。一般的には、お客様にしっかり顔と名前を覚えてもらったら育てる作業に移っても良いのではないでしょうか。

 

② 紙面販売を意識する

  第3章=商品知識=で説明したとおり、紙面販売を意識して営業しましょう。お客様のご家族やご近所、お住まいの町内の記事が新聞に掲載された場合は、逃してはいけないチャンスです。新聞を持って行き記事を基に会話をしてみましょう。

新聞にお客様に関係する記事が掲載されるということは、そうはないことです。ですから、普段はお客様情報を基に営業します。「趣味」「職業」「家族構成」などの情報です。野球好きなら御ひいきのチームが勝った翌日に訪問してその記事を話題にする。小学校の先生なら教職員異動が掲載された新聞を持って行く。お年寄りと同居ならシニア関係の記事を話題にする。という紙面販売です。

 

③ 強弱をつけた訪問をする

 育てるのは時間がかかると説明しましたが、それはお客様ごとに「新聞の必要性の度合い」「新聞という商品をどのくらい理解しているのか」「銘柄へのこだわりがあるのか」「経済的に新聞の優先度は他の生活用品と比べて上なのか下なのか」など状況が違っているからです。また、毎回「紙面販売」をしてしまうと、お客様はあなたを新聞の契約だけを目的に訪ねて来る人と思ってしまうでしょう。育てる作業は、「紙面販売」⇒「あいさつ回り」⇒「情報提供」⇒「紙面販売」⇒「あいさつ回り」⇒「情報提供」というように強弱を付けて行いましょう。

 

④ 信頼され良好な関係を築く

 強弱をつけて育てる作業をすることにより、お客様はあなたを「新聞を勧めてくれる人」「いろいろな情報を持ってきてくれる人」「世間話の相手になってくれる人」という印象を持つでしょう。これを繰り返す事であなたはお客様に信頼され、お客様と良好な関係を築く事ができるはずです。

5.刈り取る

刈取り作業で区切りをつける

 さあ、いよいよお客様に契約をお願いする刈取り作業です。一般的にはクロージングとも言います。

 

① 刈り取るタイミング

お客様が「新聞を購読してみようかな」あるいは「銘柄を変えてみようかな」と思ったときがタイミングです。お客様との良好な関係を築き、信頼されていなければ契約をお願いするのは難しいでしょう。育てる作業で良好な関係を築いた上で会話の中でお客様の気持を読み取る事に努めましょう。慣れるまでは、そろそろ刈り取っても良いかなと思ったら、上司と一緒に訪問してタイミングを判断してもらうのが良いかもしれません。

 

② 試読から刈取りへ

刈取りをスムーズに行うためには「試読」をしていただき、その後に「刈取り」をするという方法が良いと思います。7日間試読をしていただき、試読後に訪問して紙面の感想をお聞きしながら契約を促します。感想をお聞きした上での契約のお願いなのでお客様も「もう絶対に来ないで」という拒否はしないはずです。お客様から「〇〇の情報が物足りない」や「△△については自分の意見と違う」という契約しない具体的な理由を聞くことができるでしょう。これは貴重な情報です。

 

③ 刈取り後の結果分析

契約できなかった場合は、お客様がなぜ契約しなかったのかを考えてその後の訪問時期や訪問頻度を決めましょう。お客様が明確にあなたが勧めた新聞自体に不満があるのであれば、すぐにお客様の気持が好転することはありません。新聞は気に入ったけれど別の要因で今回は契約できなかったということであれば、その要因がなくなれば契約が可能となります。

 

④ 刈取り作業で一区切り

刈取り作業をするまでに何年もかかることがあると説明しましたが、ダラダラと作業をすることは禁物です。育てるということは、刈り取れる状況を作る作業でもあります。刈取り作業を行うことで、「契約」あるいは「契約しない」という最終判断をしていただけます。最終判断をしていただく事で一区切りがつきます。「契約しない」場合は、今後どのようにお客様と接していくか販売戦略を立て直すことができ、またそれを行う区切りとなります。

 上記(例)の契約しない理由の分析は、「新聞本体」「折込チラシ」「その他」にわけています。契約しない理由が改善する可能性を○×△で示しました。注1の「×」は、改善の見通しが経たないので、しばらく紙面販売はできないという判断です。このお客様へは、紙面販売を行うのは難しいですが「あいさつ回り」「情報提供」はできます。あくまでも例示ですが、このような分析ができることを覚えておいてください。