新聞営業ハンドブック

新聞営業ハンドブック2020を公開します!

新聞営業ハンドブック2020=第8章《現読者維持対策》

1 攻めの現読者維持対策

2 経済的理由

3 新聞を読んでいる人がいない・いなくなる

4 新聞を読む時間がない・忙しい

5 インターネット情報で十分

6 仕事を辞めたので必要なくなった

7 会社や図書館、近所の身内の所で読む

8 目が悪くて読めない

1 攻めの現読者維持対策

中止には2つの対策があります

 新聞を購読したことのない方に新聞を読んでいただく「新規作業」や以前購読していた方に新聞を読んでいただく「起こし作業」は、当然大切な作業です。それと同じくらいに大切なのが、現在購読いただいているお客様にできるだけ長くお読みいただくことです。しかし、入院や転勤、経済的理由等々いろいろな理由で新聞の購読が中止になってしまいます。中止連絡が来てはじめて対応するというのが一般的ではないでしょうか。

 現読のお客様の新聞1部の減を新規やお越しでカバーするのは、とても大変な作業です。インターネットの普及による新聞の減少は第1章1新聞業界の現状で説明したとおりです。これからは、ミレニアム世代の人口が上昇していきます。生まれたときにはすでにインターネットが普及していたという世代がすでに成人して、本来ならば新聞を読む立場になっていますが新聞を読むという習慣がなく、なかなかこの世代のお客様を獲得するのは困難になっています。そこで、できるだけ現読のお客様を減らさない努力が今後益々必要になってきているのです。

 

① 中止理由を整理する

中止理由を整理して、中止理由別に対策を考えてみましょう。

(1) 経済的理由

 消費税増税、所得の減収、定年退職、年金生活への移行、ローン、教育費など支出の増加や物価の高騰など様々な理由により発生します。

また、対象となる年代も年金生活者である高齢者から、住宅ローンを組む年代、教育費が発生する年代など各年代全般が対象となります。

(2) 新聞を読んでいる人がいない・いなくなる

 新聞を読んでいたお年寄りがお亡くなりになったり、ご主人が単身赴任になったり、場合によっては就職活動や受験のためにお子様が読んでいたが就職・大学が決まったなどいろいろなケースがあります。対象となる年代も幅広くなります。

(3) 新聞を読む時間がない・忙しい

 共稼ぎや仕事が忙しく出勤時間が早く、帰りが遅いという理由でゆっくりと新聞が読めないという方です。比較的働き盛り世代の家庭が対象となるでしょう。

(4) インターネット情報で十分

 ミレニアム世代から中年世代に多い理由です。しかし、最近は高齢者もインターネットを使いこなしています。若者から中年を中心として、全世代が対象となると考えた方が良いでしょう。

(5) 仕事を辞めたので必要がなくなった

 一番多いのは、定年退職を機に中止になるというものです。但し、景気動向によってはリストラや転職ということもあるので、中高年世代が中心ということになるでしょう。

(6) 会社や図書館で読む、近所の身内の所で読む

 職場で新聞を読める立場の人はあまり多くはないでしょう。図書館へも毎日行くのは大変です。新聞購読を止める口実にしていると考えられます。

また、「親の実家が近いのでそこで読む」や「孫の面倒を見ているので、必要に応じて息子の家へ新聞を持って帰らせている」なども購読を止める理由ではないでしょうか。

(7) 目が悪くて読めない

「目が悪くなって小さい字が読みにくい」という理由です。この理由は、圧倒的に高齢者が対象です。また、身体的なことなのでとてもデリケートに扱わなくてはいけません。

 

② 対策は、日頃の注意力が重要

 お客様の立場で考えて見ましょう。新聞の購読を止めるとき、突然その原因が発生して中止になるのでしょうか。ほとんどの場合そうではないでしょう。

 たとえば、突然目が悪くなって新聞が読みにくくなるでしょうか。定年退職や単身赴任が突然来るでしょうか。そうではありません。従って、お客様は事前に新聞購読の中止を考え、検討しているはずです。目が悪くても新聞の情報が必要と考えれば中止になりません。定年退職も新聞情報を仕事のために100%使っていたというなら別ですが、趣味や家族のために使っていたのなら止めるべきか否か検討するでしょう。

 このようにお客様が新聞購読の中止を検討しているときに、その情報を掴むことができれば中止を防ぐことができる可能性が高くなります。つまり、中止になってから購読の再開を促すよりも中止にならないように働きかける方が、購読していただける可能性が高いということです。

 

③ お客様の出すサインを察知しよう

 お客様が購読の中止を考えていることを察知し、中止にならないように働きかけができれば引続き購読していただける可能性が高くなると説明しましたが、お客様が購読中止を考えているときには、何らかのサインが出ているはずです。

 そのサインを掴むことができれば対策を打つことができ、購読を続けていただけるということです。お客様が考えている購読中止理由ごとに、そのシグナルも違います。中止理由ごとに説明していきます。

 

④ 日常対策と中止後の対策

 ②で説明したとおり、お客様が中止を検討しているときに行う対策と、不幸にして中止になってしまってから行う対策があります。

 そこで、現読者対策を中止理由別に(1)日常対策と(2)中止後対策の2つに分けて考えていきます。

 日常対策とは、普段の作業の中でお客様が発するサインを掴む事です。集金や配達時、日常のあいさつでかわすお客様との会話の中でサインを探すのです。お客様との会話はとても大切です。情報を収集するという意識を持って普段の作業・会話をしましょう。

2 経済的理由

金銭にからむのでデリケートな対応が必要

 経済的な理由は、お客様にとってとてもデリケートな理由です。お客様の事情に入り込みすぎるのは禁物です。お客様の立場になって考え、お客様を傷つけることのないようにして営業しましょう。

 

① 日常対策

(1) サイン

 集金やあいさつ訪問時にお客様から「景気が悪くて給与が思ったように上がらない」「新築したのでローン出費が増える」「車を買い替える」「子どもが大学に進学する」「主人が定年になる」という話が出たら要注意です。

(2) 対策

 節約の第1位に新聞が上がらないようにしなければいけません。(1)のような話しが出たら、節約方法や経済動向を新聞記事の事例を挙げて話すことができれば最良です。さりげなく「昨日の生活面に上手な節約方法が載っていましたが、ご覧になりましたか」や「経済の状況を知るのに経済面が役にたつようですね」というように話します。

 

② 中止後対策

 日常対策をしていない場合、または不十分な場合、いきなり中止連絡が入り戸惑うことになります。「なぜ止まったの。大変!」とあなたの都合だけで、あわててはいけません。お客様の立場になって考えましょう。

(1) すばやい行動

 中止連絡が来たら、すぐにお客様の所へうかがって中止理由を確認しましょう。電話で中止連絡を聞いている場合もお客様と顔を合わせて直接理由を聞く事が大事です。「私どもに何か不手際でも有りましたでしょうか」と自分達のミスが中止になったのではないかと聞いてみます。わざわざあなたが尋ねてきて、自分達の不手際ではないかと心配している様子を見れば、お客様も本当の理由を話してくれるのではないでしょうか。

(2) 中止理由の分析

 中止理由だけではなく、お客様の表情や言葉尻、声の高低などで新聞購読を中止する緊急度や優先度を判断しましょう。新聞購読の中止だけではなく色々な節約をしていて、切羽詰っている様子であれば節約に役立つという紙面説明をしても逆効果になりかねません。お客様の立場になるというのは、ここでは紙面説明をしないで、お客様のおかれている状況に共感して「それは大変ですね。また、ご購読いただけるようになりましたら、私にお声かけください」と引き下がる事も大切です。

(3) 紙面販売

 「深刻な経済状況ではない」と判断したら、新聞が「節約」や「経済動向の把握」に役立つという紙面説明をしてみます。しつこすぎないように気をつけながら「近々再購読の可能性がある」のか「しばらくは購読にならない」のかを判断しましょう。その結果は、忘れずにリストに記録しておきましょう。

 リスト管理することで、「しばらくは購読にならない」が「もう少し経てば購読するかもしれない」となり、さらに「そろそろ購読するかもしれない」とお客様の気持の変化を明確にすることが可能になります。また、そうなるようにあなたが働きかけを行っていくのです。

3 新聞を読んでいる人がいない・いなくなる

誰が新聞を読んでいたのかがポイント

 新聞を読んでいたのは誰でしょう。家族全員が読んでいれば中止にはなりません。日頃の情報収集で誰が新聞を読んでいるのかを知ることが大切です。

 

① 日常対策

(1) サイン

 できれば「誰が新聞を必要としているのか」を確実に把握しておきたいものです。家族の中で一人だけが読んでいる場合は要注意です。それが転勤の可能性のある職業のご主人であれば赤信号です。他にも就職活動のためにお子様が読んでいて、他の家族は読んでいないというケースもあるかもしれません。一番多いのが、高齢者世帯でおじいさんまたはおばあさんのどちらか一方だけが読んでいるというケースです。この場合は、入院等で中止になる可能性が極めて高いお宅といえます。

 家族の「健康状態」や「職業(会社名)」という極めてプライベートな情報です。積極的かつ具体的に情報を得ようと話をしてはいけません。あなたが個人情報を探ろうとしているととられてしまいます。普段のさりげない会話の中で、お客様のほうからぽろりと漏らした情報をキャッチしてください。

 新聞を読んでいる人が「転勤(単身赴任)」や「入院」、不幸にして「お亡くなりになる」ということで、中止なるのを防ぐために普段からやれることがあります。それは、『ほかの家族にも新聞を読んでいただく』ということです。そのためには、家族の情報が必要です。集めた「職業」「趣味」「嗜好」などすべての情報を合わせて、この家族にあった新聞情報を考えてお勧めします。新聞の営業マン・レディーの腕の見せ所です。管理しているリスト情報を基に上司とも相談して対策を練りましょう。

(2) 紙面販売

 集金時やあいさつ訪問時に収集した情報を基に、家族一人々にあった紙面を紹介します。興味がありそうな記事であれば一番良いでしょう。

ア) 奥様

 子育てや教育、家事、健康、旅行やイベントなどに関する記事や折り込まれるチラシも紹介できるでしょう。

イ) お年寄り

 健康や年金、資産運用、シニア特集などの記事がお勧めできます。近年は、シニアを意識した記事や特集、コーナーが新聞には多く掲載されます。お勧めするのに困ることはないでしょう。

ウ) 子ども

 小中高にあわせた特集や記事がお勧めできます。新聞購読者数が減少する中、将来の購読者を見据えて小中学校の児童・生徒や高校生をターゲットにした記事やイベント、こども新聞、無料問題集などのサービスが新聞社によって展開されています。新聞本紙だけではなく、取扱紙が行っているサービスを普段から勉強して、お勧めできるようになりましょう。

エ) 趣味

 美術展やイベント、釣り情報、読者投稿、読書、TV特集など趣味に繋がる記事も多く掲載されます。趣味は、気軽にお勧めできる内容なので、「紙面販売」(第3章=商品知識=4取扱う新聞の特長を知る、5紙面販売とは?を参照)を意識して新聞を読み、そしてお客様にお勧めしましょう。

 

② 中止後対策

 不行にして読んでいる方がいなくなって新聞が中止になった場合は、残っている家族に読んでいただく働きかけをできるだけ早い時期にしましょう。上記(2)の紙面販売をして下さい。また、対象のお宅の家族や親戚、近所の記事が掲載されたら、試読紙を持って行き話題にして下さい。新聞購読に慣れていない方達は、身近な話題や趣味に関する記事の提供が効果的です。

 

4 新聞を読む時間がない・忙しい

状況変化をすばやくキャッチ

 この理由は「仕事が忙しくなり新聞を読む時間がとれない」等の状況変化による中止です。まさしく状況変化を事前に察知して日常対策を行っていれば中止になる可能性を低く抑えることができます。

 

① 日常対策

(1) サイン

 収集する情報は、「共働きか」「どんな仕事か」です。他にも朝刊配達時に自動車が止めてあったのに最近は無い。つまり出勤時間が早くなった。というように色々な方向から情報を集めます。

 もし、仕事がわかったら

 景気があまり良くない業界⇒忙しくない⇒中止にならない

   ※ ただし、「経済的理由」の対策が必要

 景気が良い業界⇒忙しい⇒中止になるかも⇒対策を検討

 仕事はわからないが

  出勤が早く帰りも遅い⇒忙しい

    ⇒中止になるかも⇒対策検討

  朝刊が抜かれていない⇒忙しい

    ⇒中止になるかも⇒対策検討

 集金時やあいさつ訪問で、さりげなく「景気はいかがですか」と聞いてみましょう。「忙しくて家のこともできなくて…」となったら黄色信号です。

(2) 紙面販売

 「忙しくて読む時間が無い」方にどうやったら新聞を開いてもらえるでしょう。答えは、休日など時間の取れるときに読める記事を紹介することです。

 天気予報やラジオ・テレビ欄は当日でなければ役にたたないのでお勧めできません。事件・事故や政治・経済、スポーツは絶対に当日でなければ役に立たないということはありませんが、できれば早いほうが良い記事です。反対に生活面や文化・芸能面、地域面は、早く知らなくても不都合の無い記事です。休日など時間の取れるときに読んでいただけます。このような記事をお勧めしましょう。

② 中止後対策

 「新聞を止めて下さい」と中止連絡が来るということは、既に忙しくて読めなくなっているということです。そうなってからでは、あなたが一生懸命に紙面販売をしても、「もう少し読んでみようかしら」と心変わりすることはないでしょう。さらに、お客様は忙しいのですから面談するのも難しいはずです。紙面販売すらできないかもしれません。

 しかし、諦めるわけにはいきません。なんとかお会いして以下のように勧めてみてください。この程度であれば、嫌がられる事なく話を聞いていただけて、検討してくれるかもしれません。

・ とてもお忙しいようですね。お読みいただける時間は作れませんか。

・ お休みはお取りになれますか。決まった曜日ですか。

・ お買い物をまとめてしなければならないようでしたら大変ですね。折込チラシで安いお店を探してみてはいかがですか。

・ 生活・文化・地域面は、地元の情報や趣味、お仕事、教育に役立つ情報が掲載されます。まとめて読むのは大変かもしれませんが、お休みの日にさ~と目を通すだけでも新しい発見や役に立つ情報に出会えるかもしれませんよ。

 

5 インターネット情報で十分

ネット情報で満足できるのか?

 この中止は、現在新聞を購読している方が、インターネット情報で十分満足できるから新聞の購読は止めるというものです。インターネットで情報収集している方に、新たに新聞を購読してもらうというのとは違います。新聞とはどういうものかは十分に理解されているお客様です。

 

① 日常対策

 本当に「インターネット情報だけで十分で新聞は必要ない」のか、或いは「インターネット情報ではやや不足はあるものの、経済的理由等ほかの理由とあいまって新聞の購読を止めざるを得ない」のか、というように止める度合いを知る必要があります。

(1) サイン

 サインとしては、ネット通販で買い物をしているネットで調べ物をするネット情報は早くて便利コンピュータを買ったスマートフォンに替えたというものがあります。お客様との会話であなたの方から「ネットは便利ですね」と自ら話題を出すのも良い方法です。その会話次第では、お客様のインターネット依存度がわかるはずです。

 新聞の情報とインターネットの情報は別物と考えているお客様は安心です。逆に「新聞と同じ情報がインターネットで見ることができる」や「インターネットの情報は早い」という話しが出たら黄色信号です。集金やあいさつ訪問時の会話から推察してみて下さい。

(2) 紙面販売

 インターネット情報といっても有料のものと、無料で見ることができるものがあります。新聞社が提供する有料の新聞サイトとの契約を理由に新聞の購読が中止になるのは、他紙を購読するため取扱紙を中止するという理由とおなじ事です。したがって、ここでは「無料で見ることができるインターネット情報」を理由に新聞購読が中止になるケースを考えます。

 そこで、a)インターネット情報だけでは物足りない方とb)インターネット情報で十分な方を分けて紙面説明について考えてみます。

a) インターネット情報だけでは物足りないと思っている人

 新聞情報の必要性は十分にわかっている方です。新聞情報とインターネット情報は別物で新聞情報は必要ということを説明しましょう。

○ インターネットニュースの良い所を知る

 新聞の良い所は、「第1章 2 新聞の魅力」で紹介しましたが、インターネットニュースの良い所はどこでしょう。第一に「速報性」です。常にニュース速報が見られるという点です。第二に「色々な発信元のニュースが見られる」ということです。新聞社だけでなく、テレビや雑誌、ネットメディアなどがニュースを提供しています。また、知りたいニュースを検索することができます。このようにインターネットニュースの良い所を知っておく事も大切です。

※ ただし、インターネットにはニュースとは別に、

 取材力や裏付けに関する信頼度に疑問がある情報も含まれています。中には、提供者が個人というものもあります。

○ 地元ニュースは新聞のほうが充実

 新聞特に地方紙の地域ニュースはとても充実しています。おそらくそのほとんどは、インターネットでは見ることができないものでしょう。お客様にとって一番身近なニュースは、インターネットでは読むことのできないニュースということになります。

○ 生活面も強みのひとつ

 生活面をインターネットで見ることは、ほとんどできないでしょう。新聞特有の記事ということです。地域医療情報やイベント情報など身近で役立つ情報を得ることができます。

○ 思わぬ記事を発見!

 インターネットは画面の面積に限界があります。新聞のように見開いて紙面全体を見渡すことはできません。表示されている見出し数本だけしか目に入ってきません。紙面全体を見渡す事ができ、思わぬ記事を発見することができるのも新聞の良い所です。

○ 紙面広告も情報源

 記事と記事の間や紙面下の広告はちょっとしたコーヒーブレイクといったところでしょう。今、世の中では何が流行っているのかがわかり、旅行や食品広告では季節を感じることもできます。一方、インターネットの広告は、購入した商品や検索したワード数を基にインターネットを使う人の好みに合った広告が掲載されます(※PCの設定により異なります)。つまり、その人が興味をもっている物や事を中心に広告が掲載されているのです。広告ではありますが、偏った内容の広告を目にしているということになります。

○ ご近所やお友達、仕事先で同じ情報の共有が可能

 同じ銘柄の新聞であれば、新聞記事を共通の話題にすることが可能です。特に営業職の場合、話題作りに新聞記事を利用することは良くあることです。インターネットでは、なかなか共通の話題を見つけることは難しいでしょう。

b) インターネット情報で十分な方

 もともと新聞をあまり必要としていない方なので、上記a)のインターネット情報だけでは物足りないと思っている人に行うインターネットと新聞を比較する営業方法よりも、新聞の良いところだけを説明する方が効果的でしょう。新聞の良いところは、「89頁の3新聞を読んでいる人がいない・いなくなるの(2)紙面販売」と同じです。お客様の情報を収集して、お客様の興味に添った記事説明をしましょう。

 

② 中止後対策

 インターネットでは物足りないと思っている方は、不幸にして中 止になった場合でも、今まで説明してきた①日常対策と同じ働きかけをすれば概ね理解を示していただけるでしょう。問題は、インターネットで十分という方です。中止連絡が来る前に日常対策をすることが最良ですが、もし中止連絡が来てしまったら、上記b)と同様にお客様が興味ある紙面を説明して下さい。また、中止になってから1~2週間後に訪問して「新聞がお手元になくて寂しくありませんか(不便ではありませんか)」と声かけをしてみて下さい。このようにできるだけ早い時期に声かけをして、新聞のない生活の物足りなさや不便さに気付いていただけるように働きかけましょう。お客様が新聞のない生活に慣れてしまうのが一番問題です。

6 仕事を辞めたので必要なくなった

新聞は仕事だけに役立っているのでしょうか

 「仕事に必要だから新聞を読んでいた」ということなので、仕事以外でも新聞情報が役立つということに気付いていただけるように働きかけましょう。

① 日常対策

(1) サイン

 「家族の誰が何のために新聞を読んでいるのか」を知ることが重要です。ご主人が仕事のために新聞を読んでいるお宅で、ご主人が定年を迎えるという場合は、中止になるかもしれないと考えましょう。また、転職するという情報も要注意です。新しい仕事では新聞情報が必要ないということも考えられます。

 また、仕事のために新聞情報が必要というお宅は、その方の他に新聞を読んでいる人がいるかを確かめましょう。他の家族も新聞を読んでいる場合は、中止になる確率が低くなるからです。

(2) 紙面販売

 89頁「3新聞を読んでいる人がいない・いなくなる」の紙面販売方法と同じように対策しましょう。ご家族の趣味や嗜好を把握して、それに合った紙面販売をします。仕事以外にも新聞が役立つ事を普段からお伝えするということです。

 

② 中止後対策

 定年退職の場合は、「ご近所との情報共有」や「ご近所との話題作り」が新聞で出来ることを伝えてみましょう。実際に定年退職を機に近所の方が多く購読している銘柄に変更するというお客様がいらっしゃいます。変更の理由が「ご近所が○○新聞の記事を話題にしているが、その話題についていけないので」というものです。

 「仕事を辞めたので必要ない」という方へどのように話せば良いのでしょう? 一例を紹介します。

7 会社や図書館、近所の身内の所で読む

自宅以外で本当にゆっくりと読める?

 自宅で出勤前に新聞を読む、昼間に奥様がゆっくりと読む、帰宅してから読むというのと会社や図書館で読む、あるいは近所の身内に見せてもらうというのは同じことでしょうか。また、どこであれ新聞を読んでいるということは、「新聞が必要」ということです。上手に対応すれば、中止にはならないでしょう。

① 日常対策

(1) サイン

 自宅以外で新聞を読むようになるきっかけを日頃の会話の中から見つけましょう。

 例えば、 最近会社が新聞を取り始めた

  昼休みに新聞を読んでいる

  図書館に新聞が置いてあるのに気が付いた

  子どもが近くに引っ越してくる

  親に子どもの面倒を見てもらう

 この他にも「出産⇒里帰り」や「新築⇒実家に間借り」など関連するワードを見逃さないようにしましょう。

(2) 紙面販売

 自宅に新聞がないと不便=という説明が有効です。例を挙げてみました。

○ お仕事が忙しいと会社では読めないのではないですか

○ 必要な記事を切り抜いたりしませんか

○ 読み返すことはありませんか

○ 奥様(ご家族)がお読みになりませんか

○ ご自宅でゆっくりとお読みになりませんか

○ チラシは必要ありませんか(会社の新聞はお客様の住んでいる地元のスーパーのチラシが入らない)

 

② 中止後対策

 中止連絡が来たということは、既に会社や図書館で読んでいる、身内に見せてもらっているということです。早めに対応しないと自宅で読まなくても不便を感じなくなってしまいます。中止連絡が来たらすぐに訪問して、98頁の紙面販売をしてみてください。自宅に新聞がないことの不便さに気が付くかもしれません。

8 目が悪くて読めない

お客様への気遣いを優先しましょう

 健康上の問題です。無理に継続を勧めるのは控えましょう。読みたいけれどどうしても読めない。読むのが辛いという状況になっているのかもしれません。

① 日常対策

(1) サイン

年配のお客様との会話に注意しましょう。

○ 最近新聞の文字が読みにくくなった

○ 天気予報(あるいはTV欄)だけしか見ない

(2) 紙面販売

 「読みにくい」などのシグナルが出たら、拡大鏡を使って読むことをお勧めしましょう。もし、お店にお客様にプレゼントできる拡大鏡がある場合は、それを持って行き1週間後くらいに「いかがでしたか」と感想を聞いてみてください。「拡大鏡を使えば読めますよ」と一方的に押し付けるのは禁物です。感想を聞いてどのくらい読みにくいのかを判断して下さい。拡大鏡を使えばなんとか読めるのであれば、シニア向けの「医療記事」や「年金」「高齢者向け商品紹介」などの記事を勧めてみましょう。拡大鏡を使っても読みにくい場合は、紙面販売は少し控えましょう。他にご家族がいらっしゃれば、その方に向けた紙面販売をしましょう。

 

② 中止後対策

 中止連絡が来て、その理由が「目が悪い」ということであれば、拡大鏡を使って読んでもらいましょう。その上で「続けて読む」のか「中止する」のかをお客様に判断していただきましょう。

 目が悪いという身体的理由であることをしっかりと意識して、お客様を気遣うことを忘れないでください。「新聞が止まると困る」という気持が強いと、お客様への気遣いがなくなってしまい、それがお客様に伝わってしまいます。あくまでも目が悪いという事を気遣ってください。その気持は、必ずお客様に伝わります。気遣っていることが伝われば、お客様も購読を続けることについて前向きに考えてくれるはずです。

現読者維持対策について

 この章では、現読者が中止になる中止理由別に対策を紹介してきました。当然、ここで紹介した対策をすれば絶対に中止にならないということではありません。大切なことは、普段からお客様と会話を交わして、お客様の生活状況の変化、新聞に対する考えや要望などを把握することです。変化がなければそれに越したことはありませんが、もし変化が見られたらすばやく購読中止にならないように対策を行わなければいけません。最初に説明したように新規読者獲得は、とても大変な作業です。現在、お読みいただいているお客様に続けて読んでいただくことも新規読者獲得と同じくらいに重要なことです。

 ここで説明した対策は、どのお客様にも使えるというものではありません。お客様にあわせて会話の内容を変え、誰に会えば効果的なのか、訪問時間は適切かなどを考え、行動しなければいけません。それには、お客様はどう考えるのだろうとお客様の立場になって考えてみて下さい。お客様が嫌がらない方法を考えましょう。必要に応じて上司と相談して下さい。経験豊富な上司であれば、ここで紹介した対策以外にも効果的な方法を知っているかもしれません。

 現読者との普段の接触が大切な事を忘れないでください。集金、サービス品のお届け、チケットや刊行物の案内などお客様との接触機会を意識的に作ってください。そうすれば、自然とお客様との信頼関係が深まり、お客様情報を得ることができます。そんなお客様との良い関係をあなた自身も楽しんでください。