新聞営業ハンドブック2020 ブログ公開について
国家公務員を約20年勤めた後、家庭の事情で退職、地元へのUターンをきっかけに新聞販売業に身を置くことになりました。
国家公務員として自動車行政や公正取引委員会事務局における調査業務等を行った後、まったく異なる新聞の販売業務を行うことになったのですが、当初の戸惑いは想像以上のものがありました。そのような状況におかれた私でしたが、諸先輩方や同僚、従業員の皆さんのご指導や助言、協力のおかげで定年まで勤めあげることができました。
この間、私自身が経験した事、周りの方々からのご指導や教育等、多くを学んできました。それは、口頭や経験という伝承であり「新聞販売業務の基本」とは何ぞやというものがありませんでした。私は退職するにあたり、これらの経験、指導、教育等をまとめられないかと考え、ハンドブックにまとめることを思い立ちました。
ハンドブックを2020年に完成させ、多くの方たちに呼んでいただきましたが、作成から3年が経過し、業界等の状況変化等もあることと思います。せっかくの「新聞営業ハンドブック2020」をさらに多くの方たちにご覧いただく最後のタイミングと考えて、今回ブログにて公開することにいたしました。
時間の経過から資料の数字等タイムリーではありませんが、わずかでも新聞営業に役立つことがありましたら幸いです。
何回かに分けての公表となりますのでお楽しみください。
著者
著 者 服部 巧 (はっとり たくみ)
本文・グラフ・図・写真・イラスト
◎ 1960年、新潟市生まれ。国家公務員として
運輸本省入省。大臣官房、自動車、物流関係
部局に勤務。公正取引委員会事務局出向。乗
合自動車(バス)担当を最後に約20年間の公
務員生活を終え、新潟へUターン。
◎ 行政書士を経て新聞販売業務に従事。地元
新聞社がお客さまセンター設置とともに転籍。
電話営業、増紙関連業務、お客様サービスを
目的とした倶楽部の運営、特産品販売業務、
従業員研修講師などを行う。2020年3月セ
ンター長を最後に定年退職。
はじめに
縁があって40代になって新聞販売業に携わり、18年が経ちました。その間、多くの皆様からのご指導とご鞭撻により、ここまで勤め上げることができました。当初は新聞販売のいろはも知らず、失敗をし、結果を出せず、発行本社および販売店に数多くの迷惑をかけてきました。その後、販売店の組織変更や私自身の移籍、転籍という経験の中で成長することができたと実感しております。特に移籍した地区では、活発な活動をする主任会に参加させていただき、他店の様々な取り組みや積極的な地区会活動を目の当たりにし、そして自ら参加することで販売店とお客様が直接接することの重要性を強く感じました。また、学習指導要領の改訂で「新聞」が教材として使用されることになった際には、地区の主任が講師となって研修を行い、各販売店スタッフに営業チャンスであることを呼びかけました。元々他の販売店に出向いて行う交流拡張が盛んな地区であったため、営業の実践経験を積むのに苦労はしませんでした。私の現場営業の礎を築いたのがこの時期でした。
また、新聞販売業がおかれている状況を見ると「活字離れ」「インターネットの普及」と新聞に対する逆風は強くなるばかりです。あわせて、各店の労務は国内の経済状況の良し悪しに関係なく好転することはなく、決して魅力ある職場とは言えません。このような状況の新聞販売業界において働くスタッフのみなさんにやる気を出してもらうために、具体的な作業指示が出せないか、結果を数字で評価できないか、情報の共有化と利用価値の向上ができないか等を考えてきました。
その後、発行本社が「お客さまセンター」を新設するにあたり、初代メンバーとして全く新しい業務を行うという機会を賜りました。当初は、電話セールスを行い、その後地元の名品・逸品の販売を始め、増紙キャンペーン、会員制倶楽部の運営、無料問題集の配布等様々な業務が増えていき、お客様そして県下の販売店と直接関わる仕事をすることができました。中でも県内全てのお客様を対象として、生の声をお聴きする事ができるという経験は大変貴重なものでした。併せて販売店の意見や現状を知る良い機会ともなりました。このお客さまセンターの経験が販売現場で考えてきたスタッフのみなさんにやる気を出してもらう等々の課題解決に役立つ事に気が付きました。私の未熟な経験と考えではありますが、定年を迎えるに当たり、なにか形に残して新聞販売業務に携わるみなさんに伝えることはできないかを考えました。
そこで「新聞営業」に特化し、まとめたのがこの「新聞営業ハンドブック2020」です。これまで多くの営業マン・レディーが行ってきた営業方法を尊敬しつつ、その営業方法を分類しわかりやすく解説できないか、さらにその営業方法を未来に向けて改良し、効果が出せるものに発展できないかを意識してまとめました。できるだけ実践に役立つ内容になるよう心がけてまとめたつもりですが、多くの反論・ご意見がある事と思います。その点につきましては、私の未熟な経験と考えによるものとお許しいただけましたら幸いです。
また、この本は流通に乗せて販売することを目的としていません。従って、情報収集は私個人が行ったものを私自身が整理・確認したもので、データが古い等完全なものではない場合があるかもしれません。併せてご理解いただきたいと願います。
この本が少しでも新聞販売現場で役に立つ事を願いつつ、本書を進めていきたいと思います。
2020年3月
目次
はじめに ……………………………………………… 3
第1章=業界の現状と営業の基本知識=
1 新聞業界の現状 …………………………………… 12
2 新聞の魅力 ………………………………………… 14
3 訪問販売のルール ………………………………… 16
4 個人情報の取り扱い ……………………………… 18
第2章=社会人としての基本とビジネスマナー=
1 社会人としての自覚と心構え …………………… 22
2 組織人として求められるプロ意識 ……………… 24
3 書類作成は正確に ………………………………… 26
4 服装と身だしなみ ………………………………… 28
第3章=商品知識=
1 新聞の種類 ………………………………………… 32
2 新聞紙面の基礎知識 ……………………………… 34
3 新聞の価格 ………………………………………… 36
4 取扱う新聞の特長を知る ………………………… 38
5 紙面販売とは? …………………………………… 40
第4章=新聞営業の基本=
1 営業フローチャート ……………………………… 46
2 リスト管理 ………………………………………… 48
3 種まき ……………………………………………… 50
4 育てる ……………………………………………… 52
5 刈り取る …………………………………………… 54
第5章=お客様に合わせた営業=
1 お客様を分類 ……………………………………… 58
2 新聞を読んでいないお客様への営業 …………… 60
3 他紙を読んでいるお客様への営業 ……………… 62
4 取扱紙を読んでいるお客様への営業 …………… 64
第6章=お客様との話し方=
1 あいさつ、表情、姿勢 …………………………… 68
2 話し方 ……………………………………………… 70
3 営業会話テクニック ……………………………… 72
4 信頼関係を築くコミュニケーション …………… 76
第7章=クレーム対応=
1 クレーム発生のメカニズム ……………………… 80
2 当事者意識を強く持つ …………………………… 82
3 お客様の話をしっかりと聞く …………………… 84
4 クレーム内容を確定させる ……………………… 86
5 解決策・代替案を提示する ……………………… 88
第8章=現読者維持対策=
1 攻めの現読者維持対策 …………………………… 92
2 経済的理由 ………………………………………… 96
3 新聞を読んでいる人がいない・いなくなる …… 98
4 新聞を読む時間がない・忙しい …………………100
5 インターネット情報で十分 ………………………102
6 仕事を辞めたので必要なくなった ………………106
7 会社や図書館、近所の身内の所で読む …………108
8 目が悪くて読めない ………………………………110
第9章=転出・転入対策=
1 転出する方も大切な読者 …………………………114
2 転入にいち早く気付こう …………………………116
第10章=明るい未来に向けて=
1 販売現場の底上げ ………………………………… 122
2 データ活用の重要性 ……………………………… 128
3 顧客リストのデータ化 …………………………… 132
4 労務難を克服する ………………………………… 140
5 やわらか発想が未来を明るく …………………… 144
次回予告
本文は、次回公開からになります。早めに公開いたしますのでよろしくお願い申し上げます。