新聞営業ハンドブック

新聞営業ハンドブック2020を公開します!

顧客情報のデータ化

データ化の必要性

 新聞販売現場は、労務難に直面しています。新聞販売店業務の2本柱である配達業務と販促業務いずれにも労務難の影響は出ています。労務難を克服してどのように効率的な作業を行っていけば良いのでしょう。

 営業方法の基本は、Step1 事前準備⇒あなたが新聞の営業をしている事を認知してもらう、Step2 種まき⇒お客様に新聞に興味を持っていただく、Step3 育てる⇒購読のお願いをする、Step4刈取り⇒クロージング という流れになっています。Step1からStep4までありますが、ここで重要なのがStep1の事前準備です。お客様の情報をしっかりと掴んでいれば、営業の対策も立てることができます。もちろん、多くのお客様に営業を行う方が少ないお客様に行うよりも成果は出ます。

しかし、労務難で営業を行う人数が少ない中、営業対象となるお客様全てを訪問するのは可能でしょうか。新聞営業でよく「年に1回は全戸訪問をしよう」という話を聞きます。できるならば理想です。しかし、対象となるお客様が6,000人いるとします。営業を行う従業員が3人の場合、1人あたり2,000人が営業対象です。1日あたりにすると5.4件面談する必要があります。これは365日1日も休まないと仮定していますので、実際にはもっと多くのお客様を訪問して面談する必要があります。配達業務や集金業務、情報提供などその他の業務もあります。その中でこの数を確実にこなすのは難しいといえます。

 そこで、2,000人の中で「購読契約をしてくれそうな人」がわかれば、そのお客様を優先して営業をすることができ、結果も出るでしょう。それでは「購読契約をしてくれそうな人」をどうやって見つければ良いのでしょう。多くの優秀な新聞の営業マンは、「購読してくれそうな人」を見つけると、自分用のメモや人によっては、頭の中で記憶としてお客様情報を残しているのが現状ではないかと思います。これも職人技であり、悪いことではありませんが、俗人的な情報になってしまい、販売店で共有することができません。担当者でなければ、そのお客様の情報が詳しくわからないということです。このような顧客情報の管理方法は、新聞業界だけではなく他の業界でもあるかもしれません。このような方法だと、お客様に対する評価や見込度判定を担当者だけが行うので、「このお客様は絶対に新聞は取らない」と思ってしまうと訪問しづらくなったり、訪問しても情報収集しようとする積極的な会話ができない等の障害が発生します。

 他の業界では営業をチームで行うことでこのような障害が発生しない工夫をしています。お客様の評価を1人で行うのではなく、複数の営業担当者が行うのです。1人では気が付かなかったことが別の人間が気付くということを期待するのです。たとえば、あるお客様に小学校低学年のお子様がいらっしゃるとします。Aという担当者は独身なので、お客様に小学校の話題を振ることはありません。しかし、Bという担当者は、同じくらいの子どもがいるので小学校の話題が自然に出ます。それによりAさんが知らなかった情報をBさんが得ることができ、その情報を含めたすべての情報を踏まえて営業戦略をAさんBさん2人で立てることができます。つまりお客様の情報は、最低でもAさんとBさんの2人が共有していることになります。

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さらにこれを一歩進めて、販売店全体で共有することができれば、万が一AさんBさんが退社していなくなっても、他の営業マンがスムーズに担当を引き継ぐことができます。それでは、販売店全体で情報を共有するためにはどうしたら良いでしょうか。

 

① 顧客リスト

  営業を行う会社は、なんらかの「顧客リスト」を持っています。新聞販売店も同様で、お客様の「お名前」「住所」「電話番号」「購読紙」から始まって、優秀な販売店であれば「家族構成」「仕事」「趣味」などを把握しているでしょう。これを基に「見込度」を付けて営業戦略を立てます。

しかし、この顧客リストの更新が手強い作業なのです。顧客リストの情報が新鮮であればあるほどその情報を活かすことができますが、配達、集金、お客様への情報提供等日常作業を行いながらの営業活動のため、得た情報を顧客リストに更新する作業を行う時間的余裕が取れないのです。そのため、自分だけのメモや頭の中の記憶に留めるしか方法が無いというのが現状なのです。だからと言って、このままの状況で良いということはありません。

密度の濃い新鮮な顧客リストは営業戦略の強い味方となり、それは結果へと繋がります。そして、顧客リストがPCデータ化されていれば、さらに何百倍も効果的に活用することができます。

 

② データ化

顧客情報をデータ化すれば色々な場面で役立つというのはなんとなくわかっていると思います。具体的にはどのように役立つのでしょう。

 

(1) 営業戦略の立案

顧客毎にお客様のおかれている環境や新聞に対する考え方などを踏まえた「見込度」により、お客様へ提案する記事を選んだりお勧めするタイミングを計ったりできます。たとえば、事前に見込度別に次回訪問まで何日の間隔を開けるか…を決めておきます。実際に営業を行った後に訪問結果をPC入力すると「次回訪問日は、〇月〇日」と表示されます。複数の顧客の次回訪問日をソート(並べ替え)して、販促日に訪問する顧客を選び出すことができます。

また、学習指導要領の改訂時期に高校生・中学生・小学生それぞれに合わせた紙面販売を計画した場合には、お子様の学年または年齢を把握できていれば、ピンポイントで営業を行うことが可能です。

他には、高齢者向けのサービスを行っている販売店の場合、該当する世帯を抽出して営業を行うことができます。

つまり、販売店側が販売戦略に会わせて、営業スタッフに訪問するお客様を具体的に指示することができるわけです。現在は、販促するターゲットは営業スタッフに任せて、具体的に販促指示を出すことがないのが新聞販売現場ではないでしょうか。そもそも、会社が従業員に具体的な営業指示を出せないという業界は珍しいと思います。きめ細かに従業員の行動を把握して、教育し、営業指示を出す…ということを行いたくても、販売店労務難で顧客リストの更新ができず、それらの作業ができないというのが現状なのです。顧客リストのデータ化ができれば、労務難であっても適切な作業支持が従業員に出せるようになります。

 

(2) PCデータ化は難しいのでしょうか

売店の規模にもよりますが、新聞社の協力があれば決して難しくはありません。基本となるアプリケーションソフトは、オリジナルを作るのではなく、PCに入っている表計算ソフトを使えば良いのです。そうすれば費用は「0円」です。表計算ソフトを使用するメリットは他にもあります。販売店独自の顧客リストを作ることができ、個別販売店毎の地域性や環境、事情、希望に合わせたリストを作ることが可能です。

入力するのに手間がかかるのでは? と思うでしょう。最初から顧客全てのデータベースを作ろうとすると大変です。そうではなく、1件訪問したら1件入力をしていけば良いのです。1ヶ月⇒3ヶ月⇒半年⇒1年⇒2年…とデータは蓄積されていき、自然と有効に利用できる大切なデータベースが出来上がります。

 

大切なことは、考えすぎて一歩を踏み出さないことです

莫大な予算は必要ないので、失敗を恐れずチャレンジすることが大切です

 

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